大型登記では、登記完了の直後に事後確認を行います。
この直後とは、1日後ではなく、終わったあと一息入れてではなく、その瞬間・刹那にするという直後です。そして、この登記完了の瞬間にする事後確認は、事務所のPCにおける登記完了シグナルの直後にするので登記情報提供サービスによるもの(登記情報)となります。
大型登記とは、たとえば100件を超える数が多い登記もそうですが、8億円という金額が大きい登記も該当します。また、1筆で価格が小さいが抜き差しならないものもここに入ります(これは大型というよりもシビアといったほうがいい)。そして、その分岐点は一概に言えません。8億円でも平和な住所変更登記であればシビアではない。融資実行の条件となる8億円の設定登記はシビアで大型といえますが、条件とならない設定はそれほどシビアとはいえません。
大型登記・シビア登記では、関係機関に求めていた登記が完了したことを示す必要があります。この最高峰(もっとも証明力があるもの)が公印のある登記事項証明書(事項証明)です。
なお、登記情報(登記情報提供サービスによるもの)も公印レベルになる場合があります。これが照会番号です。しかし、照会番号により確認できる受け手は行政機関等に限られます。したがって、「当局のこの申請は、登記事項証明書等の公印のある証明書を提出しなければならず、登記情報では足りない」という厳格規定のある手続は、登記事項証明書か照会番号付の登記情報が必要となります。また、受け手(申請先)が情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第3条第2号イの内閣の所轄の下に置かれる機関であるからといって、照会番号付の登記情報を受け入れてくれるとは限りません。
しかし、このような厳格規定たる法規があるのなら仕方がないですが(不動産登記法はそういう法律である)、そうでないのであれば登記情報でもよいと思います。証明印がないからといって立派に証明をしてくれているので。
なお、裁判所に証拠として提出する場合、昔は登記事項証明書を提出せよと叱られたことがありましたが、今は登記情報を提出してもなにも言われません。また、いまは裁判所に当事者適格としての代表者事項証明書として登記情報を提出しても同様です。証拠は当然として、当事者適格としてはさすがに駄目だろうとは思いますし、裁判所はこの論点はわかっていると思います。つまり、この点はもう煩くしないということだろうと思います。
新法になってから美濃島事務所がした最大筆数は、6管轄に渡る合計798個の共同根抵当権設定登記の極増でした。シンジケートローンで金融機関は三つ。798個✕3機関=2394個、共担付であると各480円のところ各約1500円、2394個✕1500円=約350万円。
一つに、謄本料金に350万円を払いたくない。二つに、そのような紙を取りたくない(段ボールでの納品)。三つに、金融機関もそれらを確認したくないだろう。四つに、すくなくとも不文律による金融実務に公印のある証明書の納品を要求するという規定はあるが、それは法規ではないし絶対的ではないと思われる。
そこで、登記情報が真としてもらうこととし、各管轄の共担付1筆の登記情報を提供することに落ち着きました。