定款添付が必要な案件

1 定款提出の必要性(対登記所)

商業登記手続においては、登記所に、定款を提出しなければならない案件(ex.設立登記等)と、定款を提出する必要のない登記(ex.代表取締役の住所移転)があります。

役員変更登記はどうかというと、必要なパターンと、不要なパターンがあり、この区別を説明することは難しいです。

2 定款提出の必要性(対美濃島事務所)

登記所への定款提出の要・不要にかかわらず、登記事務所には定款を提出していただく必要がございます。ただし、当事務所が関与して設立した場合などの、当事務所が定款情報を保有している場合は無用です。

3 定款とは

設立時には、公証役場の認証印のある〈定款という紙〉が存在します。これを原始定款といいます。

①『設立から1月経過後に、定款変更があった場合で・議事録を残しているも定款情報を書き直していないとき』、原始定款はもはや定款ではありません。 原始定款にある規定を抜き出して、変更した規定を修正し、『現在の定款はこのとおりである』という証明文を付けることになります。なお、新旧対照表があると後日に変遷を辿る際に有益です。

②『設立してから1月経過するも・定款変更がなかった場合』、定款は、この原始定款になります。しかし、だからといって、定款証明として原始定款を登記所に提出するのは間違いです。原始定款に『現在の定款は、この内容に相違ない』という奥書きが必要です。もちろん、原始定款にある規定を抜き出してする方法でも構いません。

③『設立してから十数年経過するも・定款変更がなかった場合』、 原始定款に『現在の定款は、この内容に相違ない』という奥書きをしてすますことは、おそらく正解ではありません。場合によってその間に商法・会社法の改正があって規定が古くなっている可能性があるからです。ただし、規定が古くなっているとはいっても、会社法等で読み替え規定がある場合は読み替えることになりますので、不適切ではありません。読み替え規定有無問題を抜け出すために、『読み替え規定がある場合には、うんぬん。ない場合にはかんぬん』という手法もありえますが、スマートではありません。読み替え規定があっても、気付いたときに変更決議をするべきです。

4 どれが定款であるかわからなくなった場合

定款は(定款の規定は)、株主総会でいつでも変更が可能です。どれが最新の定款であるかを調査するよりも、いっそのこと全部削除し全部新設するという定款を刷新すればいいかもしれません。